パッセージ


「また奏汰先輩と来たのー?」


「だって、家が隣なんだもんっ」


梨花の呆れ顔を見つめながら頬を膨らませる。


「なのに、奏汰、いつも通り冷たいの…」


私の文句に梨花は盛大な溜息をつくと、私のオデコにデコピンを放ってきた。


「ていっ」


「痛っ!何するのー!」


「あのね、羽海。先輩だって羽海だって、もう子供じゃないんだよ」


「うん」


「いつまでも先輩に彼女ができないと思ってるの?」


「…そんなこと、」


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