裸の街
外出
外の日差しが眩しい。

たとえば、映画館に入って
はじめは暗くて何も見えない。
だけどしばらくすると目が慣れてきて
周りのものが見えてくる。
そんなふうに、はじめは
皆、何も付けていない「裸」
に見えたのだが、
じつは、すべての人が
薄いベールのような
ボディースーツで体が覆われているのだ。

なるほどなぁ、と妙な感心をしつつ

それとフシギに思ったのが
人の、いわゆる「裸」を見ても
何も感じないのだ。
興奮するとか、
アイツのはどうなっているかとか
興味がない。
これはボディースーツに
「欲」を制御する機能でも
付いているからだろうか。
サトシにちょっと聞いてみる。

ボディースーツをはずせば、
人間は欲のおもむくままに ふふふ。
ボディースーツは
欲 というものを
抑える「特性」があるからね。
まして人間誕生に関わる欲については
厳重に「管理」されている

管理?

でも最近、
人間性を失いたくない、って奴らが
スーツを改造して
社会問題になってるんだー。
いっきょう、気をつけなよー
そのボディースーツ、それ狙われて
改造されたら、人類の脅威になるよ~
いっきょうくんの糞尿が
世界中にばらまかれたりして!

… 悪い冗談はやめてくれ・・・

そんなこんなで、薬局に着いた。
驚くほどデカイ建物だ。

そして、ここまで来るのに
気がついたことが一つ。
コンビニエンスストアが1軒もなく
代わりに、やたら薬局が多いことだ。

それと…
サトシが、俺がこの世界のことを
何も知らない ということを
知っているような気がする…。
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