オアシス・カフェ〜三人のプリンス〜
嵐が去った静けさのように流れる沈黙。
ややあって卓人さんは溜息を吐くと、閉めたドアに寄り掛かった。
「…一回しか説明しないから」
むすっとした無愛想な口調の卓人さん。
俯いたまま腕を組み、一気にピリピリした空気が漂い始める。
「あ…はい」
「ハルさんの親戚だからって特別扱いしないから」
「はい」
「それから…」
そこで言葉を止めると、漆黒の瞳が私を捉えた。
途端に自由が利かなくなる身体。
ドクッドクッと激しく音を鳴らす心臓。
全身が緊張で支配され、恐怖さえ覚える。
「俺に必要以上に近付くな」
「近付くなって…どうして…?」
「女が嫌いだから」