オアシス・カフェ〜三人のプリンス〜

ハルさんは平井柚姫を“目に入れても痛くないほど可愛い”と溺愛していて。

『特に蒼!半径1m以内に近寄らないで』なんて忠告してくるほど。

手を出すなんてありえない。

外見は可愛いとは思うけど、俺は断然小澤凛子派。

ああいう男に免疫がなさそうな大人しめなタイプは後々面倒な事が多いし。

そして何よりも、俺は自分からは手を出さない主義だから。


それにしても、あのハルさんが溺愛するほどの女って、どんなやつなんだろうか。

ただの興味本位でしかなかった。


…保健室で出会うまでは。


あの日、仮病を使って保健室に行くと先生は不在だった。

二つあるうちの一つのベッドはカーテンに覆われ、穏やかな寝息が微かに聞こえる。

幸いにも、俺のお気に入りの窓側のベッドは空いていて。

俺はカーテンを閉めてベッドに横になった。


窓から入る日差しでベッドは温められ、何とも気持ちいい。

いつの間にか、スゥッと吸い込まれるように眠りについていた。


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