オアシス・カフェ〜三人のプリンス〜
『ふざけてなんかないよ。俺は本気。柚姫ちゃんが気に入ったから。俺のものにしたい』
面白い女。
こんな女、初めてだ。
ハルさんには悪いけど、絶対に落としてやる。
だけど、平井柚姫…いや、柚姫ちゃんはなかなか手強くて、全く手応えはなし。
しかも遣都さんを好きだという始末。
よりによって溺愛してる彼女がいる男を選ぶなんて…
柚姫ちゃんの泣き顔が頭に浮かぶ。
何故だろう…今まで沢山の女の涙を見てきたけど。
彼女の泣き顔だけは見たくないと思った。
そんなある日、学校の先輩から呼び出された。
彼女とは何度か寝たことはあるけど、正直名前は曖昧にしか覚えてない。
『答えてよ!平井柚姫のこと好きなの⁈』
先輩がそう声を荒げた時、部屋の奥の方からガタッと物音がした。
ちらっと目を向けると、慌てて隠れる柚姫ちゃんの姿。
本人は隠れたつもりなんだろうけど、全然隠れられていなくて。
その天然さに、思わずふっと笑みが漏れた。