オアシス・カフェ〜三人のプリンス〜
「父さんは俺を恨んでないのか?」
父さんと母さんは大恋愛の末の結婚。
お互いを本当に大事にしていて、いつまで経っても仲良くて。
少しの間、単身赴任していたとはいえ、月に二回以上は帰ってきてたし。
それほど愛していた母さんを傷付け、母さんは俺を助けようとして事故に遭った。
助けた子は俺じゃなかったけど。
「…母さんは俺をーー…」
“恨んでないかな…”
そう言い切る前に、リビングにパッチーン‼︎‼︎と痛々しい音が響き渡った。
何が起こったのかわからない。
徐々に右頬にピリピリと痛みが生まれ、父さんに叩かれたのだとわかった。
痛む右頬に手を当て、ゆっくりと父さんへ向き直る。
「ーー…っ、父…さん…」
父さんは瞳を揺らしながらも、俺を真っ直ぐに見つめていた。
辛そうに、切なそうに顔を歪ませて。
ぎゅっと結んだ唇は小刻みに震えている。