オアシス・カフェ〜三人のプリンス〜
「お前は、この7年間…ずっと…ずっとそんなことを考えていたのか…?」
「……」
「ずっとそうやって自分を責めていたのか…?一人で…悩んでいたのか?」
そう言った父さんは、膝の上に置いた手を握り締め俯いた。
ズボンにぽたぽたっと滴が落ちる。
そして震え掠れた声で「お前は…馬鹿だよ…」と呟いた。
「母さんが恨むわけないだろう?あの唐揚げも海老フライもケーキも、蒼に喜んでほしいから…少し出勤時間を遅らせてもらいながらも作ったんだ。蒼を世界で一番愛してるから助けようとしたんだ」
「……」
「母さんは蒼の笑顔を見てるだけで幸せになれるって言ってた。あの笑顔を守るのが私の役目だと…守るためなら何だって出来るって、お前の寝顔を愛おしそうに見つめながら言ったんだ。母さんはお前が無事で安心してると思う。蒼の幸せを天国から願ってる」
生暖かい涙が頬を伝う。
男が二人で向き合いながら涙を流すなんて阿呆だろう、って思ったけど。
それは止まることなく次から次へとこぼれ落ちて行く。