オアシス・カフェ〜三人のプリンス〜
遣都さんは優しいから、私が告白したら絶対にちゃんと考えてくれる。
悩ませたくない。
遣都さんの幸せを、少しも邪魔したくない。
「諦めるよ。まだ出会って一ヶ月も経ってないし、大丈夫」
まだ好きだと気付いてから日が浅い。
遣都さんとの思い出だってカフェで会話したぐらいしかないし。
すぐ忘れられる。
「…恋って不思議だよね。想定外のことが起きる。長い間友達だった人のことをある時突然好きになったり、一目見て恋に落ちたり」
凛子はストローでアイスコーヒーをくるくるとかき混ぜる。
氷とグラスがぶつかり合って、カランカランと音を鳴らした。
「でもどんな形でも、例え期間が短くても恋は恋。十人十色、色んな恋の形があって当然なんだよ」
「うん。そうだね…」
「後悔しないように自分の気持ちに正直にね」
後悔しないように、か。
もしこのまま気持ちを伝えなかったら、私は後悔するのかな。
本当の笑顔で、目を見ておめでとうって言える?
本当に諦められる?
いくら自問自答しても、答えはわからなかった。