オアシス・カフェ〜三人のプリンス〜
「ん〜。半分正解で半分不正解ってとこかな。見ててごらん」
半分正解で半分不正解?
見ててごらんって、ただ卓人さんが接客してるだけだけど…他に何かあるの?
並木さんの言ったことが理解出来ず、ただ言われた通りに卓人さんを見つめる。
すると、「…すみません」と女性客が卓人さんに話し掛けた。
卓人さんは眉を寄せ、明らかに不機嫌オーラを出している。
だけど、女性客はそんな事は全く気に留めていない様子。
「あのぉ、彼女とかいるんですか?」
甘ったるい声でそう言った途端、更に深くなる卓人さんの眉間の皺。
「良かったら番号交換しませんか?」
女性客は胸元が開いた服を着て、わざと胸を寄せて強調させている。
自分の長所や男を落とすコツを熟知してる仕草に、驚きどころか少し引いてしまった。
これが恋愛に慣れた経験豊富な大人の女性。
私には遠い、無縁の世界。
何も言葉を発しない卓人さんに対し、負けじと自分をアピールする女性客。
いつの間にかスタッフも客も、殆どの人がその動向に注目している。