オアシス・カフェ〜三人のプリンス〜

その日の夜。

終業時間のほんの数分前に、カフェの扉が勢いよく開くと。


「ハルさん!柚姫ちゃん!やったぜ!」


遣都さんはいつもより高揚した声でそう言いながら、店に入ってきた。


「どうしたのよ?そんな興奮して」

「今日プロポーズしてOK貰ったんだ‼︎」

「きゃあ‼︎おめでとう遣都‼︎良かったじゃない!」

「二人には相談に乗ってもらってたし、どうしても早く知らせたくてさ。柚姫ちゃんの助言のおかげで彼女泣いて喜んでくれた。本当にありがとう」


今まで見た中で、一番幸せそうな顔をしてる遣都さん。

矢が深く刺さったように胸がズキズキする。


おめでたいことなのに…

笑って、心からおめでとうって言いたいのに…

そう出来ない自分が嫌で仕方ない。


「そうですか、良かったです。おめでとうございます」


今出来る精一杯の笑顔。

大丈夫かな…

私、ちゃんと笑えてる?


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