オアシス・カフェ〜三人のプリンス〜

遣都さんに彼女がいるって分かって私がここに逃げてきた時、卓人さんが後に続いてここに来たのも、泣いてたこと誰にも言わないでくれるって言ったのも。


そして、今日のことも。

全部卓人さんの優しさ。


まだちょっぴり怖いけど、卓人さんは人の心を労われることの出来る優しくて不器用な人。

ありがとう、卓人さん。


ーーーーーーーーーー・・・・


あれから遣都さんと会わない日が続いた。

バイトが忙しいのと、休みの日は凛子が遊びに連れ出してくれるお陰で、辛い失恋も何とか早く乗り越えられそうな気がした。

そんなある日。


昼からバイトのため、メインストリートを歩いていると卓人さんがコンビニから出て来た。

思わずピタッと足が止まる。

心臓がドキッと跳ね上がり、呼吸がうまく出来ない。


卓人さんはすぐに私に気付くと、いつものクールな表情を崩さずに「平井も11時入りか?」と言った。


「あ…はい。そうです」

「そうか…」


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