オアシス・カフェ〜三人のプリンス〜
あの日から、卓人さんと会話する回数が増えた。
こうやって、卓人さんからも話し掛けてくれるし、私が話しかけても嫌な顔をしなくなった気がする。
少しは心を開いてくれたようで、それが嬉しい。
私の気持ちにも変化があって、最近卓人さんと目が合うと胸がドキドキする。
卓人さんが気になって仕方なくて、気が付くと目で追ってしまっていた。
この気持ちは恋心じゃない。
卓人さんの優しさが凄く胸に染みて、一時的にドキドキしてるだけ…
きっとそうに決まってる。
だって私は、遣都さんが好きだったんだから…
ふと、隣りを歩いていた卓人さんが視界から消え、足を止めた。
「卓人さん?」
卓人さんを見ると、険しい顔で反対側の歩道を見つめていた。
え…あれって…
「澤村さん…?」
その視線の先にいたのは、澤村さんと知らない男性。
二人は腕を組んで、仲良さそうに信号待ちをしている。
どういうこと?その人は…誰?