オアシス・カフェ〜三人のプリンス〜
「そうだわ!この近くに行きつけのBARがあるの。バイト終わったら一緒に行かない?」
女性客は何も言わない卓人さんの腕をそっと撫で回す。
派手な赤いつけ爪と光る指輪が厭らしさを際立てていた。
「悪いけど、興味ないから」
「……え…?」
「あんたみたいに馬鹿そうな女、嫌いなんだよね」
「ーー…っ!!!」
「わかったら迷惑なんで帰ってくれる?」
低い感情のない声が、静まり返った店内に響いた。
誰もが呆気に取られ、時が止まったように固まっている。
「…っな、何よ‼あんたみたいな子供、こっちから願い下げよ‼」
そう言って、顔を真っ赤に染めた女性客は千円札をテーブルに叩き置いて乱暴に店から出て行った。
店内は少しずつ賑やかさを取り戻し、所々から「今回も凄かったね」と声が聞こえる。
「…並木さん、これは一体…」