オアシス・カフェ〜三人のプリンス〜

「もうこんな時間か…今日はこの辺で終わりな」


勉強を始めてから一時間。

最初は緊張して勉強どころじゃなかったけど、気が付いたらあっという間に時間が経っていた。

卓人さんは本当に教え方が上手で、何度やっても解けなかった数学の問題がスラスラ解けるようになった。

だけど、スパルタで…

初日一時間でドッと疲れた気がする…


私達は、残ってるスタッフに挨拶をして店を出た。


「こんな時間まで付き合わせてすみません」

「別に」


そうポツリと言って、目を逸らす卓人さん。

最近、「別に」って目を逸らす時は照れてる時だって気付いた。

その証拠に、若干頬が赤くなる。

いつもはクールなのに、たまに見せるその姿が可愛くて「ふふ」と笑みが零れる。


「何だよ」

「いいえ、なんでもないです」

「ったく、ほら行くぞ」

「へ?何処に?」

「何処って、お前ん家。送る」

「いやいやいやいや!平気です!一人で帰れますから!」


バイト後で疲れてるのに、勉強を見てもらった挙句、送ってもらうだなんて滅相もない!





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