オアシス・カフェ〜三人のプリンス〜

「平井?」


優しくて、心配そうな声が上から聞こえる。

無意識にその場に立ち止まっていた私。

卓人さんは、そんな私に気付いて戻ってきてくれた。


「…どうした?」


最近の卓人さんは、優し過ぎて困る。

そんな優しく聞かれたら、思ってること全部言いたくなる。

こんなこと、言いたくないのに…


「黙ってたらわからないだろ?」


ああ、もう…卓人さんのバカ…

せっかく堪えた涙が頬を伝った。


「…いに……いでっ…下さ…」

「ん?何?もう一回言って?」

「…嫌いに……ならないで…下さ、い…」


次から次に流れる涙を手で拭う。

卓人さんの顔は、涙でよく見えない。


「勉強も出来ないし…帰りも送らないといけないし…すぐ泣くし…面倒な女ですけど…卓人さんに嫌われたら…私、立ち直れません……」


うぇーん、と大泣きする私を、通りすがりの人が何事かと見てくる。

このままじゃ卓人さんが泣かせてるって誤解されちゃう…

だけど、止まらない。



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