オアシス・カフェ〜三人のプリンス〜
「二人ともどうした?」
遣都さんは急に黙った私達に気付き、視線を辿るようにゆっくりとドアの方へ振り返った。
ダメ…遣都さんは見ちゃ駄目…‼︎
「遣都さーー…」
「ーー…穂花⁈」
私の呼び止めも虚しく、遣都さんは驚いた表情で声を上げた。
「遣都…なんで、ここに…?」
澤村さんは顔を青ざめると、繋いだ手をパッと勢いよく離し、男性から一歩距離を置いた。
「…お前、今日…会社の同期と女子会だって…」
「……あ、あのね…これは、その…」
「……」
静まり返る店内。
ハルちゃんは今にも泣きそうな顔で二人を見つめている。
私の位置からは遣都さんの顔は見えない。
だけど、その拳は小刻みに震えるほどギュッと握られている。
ややの沈黙を破ったのは遣都さんだった。
「…ハルさん、ごめん。頼んだパンケーキは柚姫ちゃんにあげて」