オアシス・カフェ〜三人のプリンス〜

私は本当に自分勝手だ。

遣都さんを放っておけなくて追いかけようとしてるのに、卓人さんに送り出されるのが寂しいだなんて。

私にだけ優しくしてくれる、なんて勘違いもいいところ。

卓人さんは私が別の男性の元へ行こうとしても、快く送り出すし。

それよりも、今は澤村さんが気になって仕方がないみたい…

私なんて、良くて妹的存在ってとこなのに…


「…すみません」


そう言って、私は勢い良く店を飛び出した。

澤村さんを見つめる卓人さんの心配気な瞳を頭から振り払うように。

無我夢中で走った。

路地を抜けメインストリートに出ると、すでに出来上がったサラリーマンや学生で溢れ返っている。

閑静な裏の広場とは真逆の煌びやかな世界。

いつもは何とも思わない、普通の光景も、今日はうっとおしく感じる。


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