オアシス・カフェ〜三人のプリンス〜
「遣都さん…どこ…?」
人混みを掻き分け、その姿を探す。
走ること数分。
別の路地を入ったところにある公園の前で足を止めた。
ぼんやりと灯る外灯の下、遣都さんは思い詰めたように一点を見つめながら、ベンチに座っている。
いつもの幸せいっぱいの笑顔からは想像出来ないほど、重苦しい空気を纏っていて、近くに行くか行かないか躊躇ってしまう。
私は唾を飲み、公園にゆっくりと足を踏み入れた。
遣都さんの隣に、間隔を開けて静かに腰を下ろす。
遣都さんは私をちらりとも見ない。
生暖かい夜風が、私達の髪をさらっと揺らした。
「あいつ…婚約指輪してなかったな…」
遣都さんの消えそうな掠れた声が、胸を締め付ける。
「俺だけ浮かれてたなんて、ホントだせぇ…」
そう言って、遣都さんは自嘲するように、ははっと乾いた笑みを浮かべた。
そんなことない…
遣都さんはダサくないよ…