オアシス・カフェ〜三人のプリンス〜
涙がじわりと溢れ、膝の上で握った拳が震える。
私は何も言えず、ただ首を横に振るしか出来ない。
遣都さんは何も悪くないのに、どうしてこんなに傷付けるの…?
あんな風に凄く大切にされて、愛されてるのに、どうして簡単に裏切れるの…?
すると、私の肩に遣都さんが頭を乗せた。
柔らかい髪が頬を摩り、胸がドキッと高鳴る。
「遣都、さん…?」
「ごめん…少しだけ、こうしてて…」
そう言った遣都さんの声も、そして身体も、微かに震えていて…
私は気付かない振りをして、夜空を見上げる。
月には雲が薄っすらとかかり、星は一つも見えなかった。