オアシス・カフェ〜三人のプリンス〜
「客が卓人と働く女性スタッフを妬んでね…嫌がらせが凄かったんだ。あとは卓人にボロクソ言われて耐えきれなくなって。皆泣きながら辞めていったよ」
並木さんは「柚姫ちゃんは辞めないでね」と念を押し、オーダーが入った為キッチンに入って行った。
辞めないでって言われても…
もうすでに卓人さんに怖気付いてる私。
卓人さんが何をどんな態度でボロクソ言ったのか、安易に想像出来る。
さっき言われたことなんて、きっと序の口なんだろうな…
それに女性客からの冷たい視線に薄々気付いてたけど、気のせいじゃなかったんだ。
もしかして私も足を引っ掛けられて転ばされたり、待ち伏せされて罵声を浴びせられたりするのかな…
「ーー…っ…」
その様子を想像しただけで背中がぞくっとする。
と、とにかくあまり関わらない方が良さそうだよね…
私は卓人さんに必要以上に近付かないと心に決め、「よしっ!」と小さく頷いた。