オアシス・カフェ〜三人のプリンス〜
「…返事はくれないのか?」
言葉にならない様子の穂花。
返事なんて、穂花の反応を見てたら聞かなくてもわかる。
だけど、聞きたいんだ。
穂花の口から、ちゃんと。
「…っ……」
「…穂花?」
「っ、は…い……」
目にいっぱい溜めていた大粒の涙が、穂花の白い頬を伝う。
俺は指輪と、穂花の細い左手を取った。
左手には、すでに俺が誕生日にプレゼントしたピンクゴールドの指輪が嵌めてある。
それに重なるように、俺はダイヤモンドの指輪をそっと嵌めた。
二つ重なった指輪を見て、穂花は花のように可愛らしく微笑む。
俺の中に、じわーっと温かい物が広がって…
俺は穂花を守っていこうと思った。
一生を掛けて幸せにしようと誓った。
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「遣都って、意外とロマンチストなのね」
観覧車を降り、落ち着いた穂花が左薬指を見ながら「ふふふ」と笑った。
「今回は特別。普段は恥ずかしくて、こんなこと出来ないよ」