オアシス・カフェ〜三人のプリンス〜

それから数日後。

「遣都、いらっしゃい」


会社帰りにオアシス・カフェに足を運んだ。


穂花は会社の同期と女子会。

結婚したらなかなか友達と飲みに行けなくなるし、そういう集まりも大事にしてほしい。

それに、電話越しに「明日は一緒にご飯食べようね」なんて可愛らしい声で言われたら、ノーなんて言えるはずがない。

はぁ…俺、結婚したら尻に敷かれるタイプだな…

でも、女性が強いのは夫婦円満の秘訣だとも言うし。

それでもいいか、と納得する俺。


いつものカウンター席に荷物を置くと、店の一番端の席で柚姫ちゃんと卓人君が勉強しているのに気付いた。

そういえばこの前、卓人君が勉強教えてるってハルさんが言ってたっけ。

あの過保護のハルさんが、まさか男の卓人君にお願いするとは思わなかったけど。

卓人君なら安心だって、わかる気がする。

…って、俺まで兄貴の気分になってるし。

年取った証拠だな、俺も。



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