オアシス・カフェ〜三人のプリンス〜
俺…何やってんだろ。
昨日までは何事も上手く行き過ぎてて、夢が覚めるのが怖いと思うほど幸せだったのに。
俺はずっと、騙されていたんだろうか…
俺が見てきた穂花は、偽物だったのだろうか。
はぁ…もう何も考えたくない。
ため息をついて俯くと、黒い革靴のつま先が擦れて傷が出来ているのに気付く。
この靴、穂花がプレゼントでくれたんだよな。
「…ふっ、ははは……」
この傷が俺と穂花の関係と被って、思わず苦笑いが漏れた。
力なく壁に寄りかかっていた身体に力を入れて、再び歩き出す。
「あれ…こんなとこに路地なんてあったっけ…?」
いつもカフェに行くために通るメインストリートなのに、全く気付かなかった。
人がすれ違うには狭いぐらい細い路地道。
その先はポツリポツリと消えそうな街灯が灯るだけ。