オアシス・カフェ〜三人のプリンス〜
とりあえず、今は一人になりたい。
冷静になって、考えたい。
俺は引き寄せられるように、路地道に足を踏み入れた。
路地を進むにつれて薄れてく雑音。
冷んやりとした風が吹き抜け、火照った身体から熱を奪って行く。
少し歩くと十字路に差し掛かり、閑静な住宅街が広がっていた。
さっきまでビルで見えなかった月が姿を現す。
辺りは路地に比べてやや薄明るい。
俺は十字路の一角にある公園のベンチに腰を下ろした。
砂場と滑り台、ブランコ。
そして外灯が一つあるだけの小さな公園。
子供達がいないそこは、静かで寂しい気分にさせる。
…そう感じるのは、今の俺の心境のせいかもしれないが。
ベンチに座って、すぐに頭に浮かぶのは穂花と男の姿。
あの二人はいつからそういう関係なんだろうか。
俺はいつから二股を掛けられてた?
それとも、俺の方が遊びだったのか…?
これまで穂花と過ごした日々を思い返す。
今まで幸せで満ちた思い出も、今はもうくすんで見える。