オアシス・カフェ〜三人のプリンス〜

夜空を見上げる。

薄い雲が掛かり、泣いてるように見える月と都会の明かりで輝きをなくした星達。

山奥に行って、ゆっくりと満天の星空を見上げて、心を無にしたい。

そうすれば、このドス黒い感情も少しは浄化されるかもしれない。

この忙しい時期に、休暇なんて取れるわけもないけど。


そんな時、ふと柚姫ちゃんの顔が頭に浮かんだ。

…なんで彼女なんだろう。

今まで、他の女性のことなんて興味もなかった。

穂花だけがそばにいればよかった…

俺の中には、こんなことになってもまだ穂花でいっぱいで。

今日のことが夢だったらいいのに、とかもしかしたら一緒にいた男は兄弟か親戚かも…なんて都合のいいことばかり考えてしまうのに。

こんな時に別の女性が思い浮かぶなんて…



< 169 / 251 >

この作品をシェア

pagetop