オアシス・カフェ〜三人のプリンス〜
◇恋は突然やってくる

3時のピークを何とか乗り切り、時刻は17時半を回った。


「…やっと落ち着いた…」


忙しくてバイトさんが辞めて行く気持ちがなんとなくわかる…

ピーク時になるとハルちゃんはラテアート、並木さんはパンケーキやその他のスウィーツの調理、バイトのベテラン(今日は卓人さん)はその他の飲み物を淹れるのに追われる。

残った私ともう一人のバイトさんでレジ、配膳、片付け等を分担するんだけど、これがまた息つく暇もなく忙しい。

仕事を簡単に考えていたわけじゃないけど、想像を超える忙しさに目が眩む程だった。

大好きなハルちゃんの店が大繁盛なのはホントに嬉しいんだけどね。


私が客席に見えないように息を吐いた、その時ーー。


白い洋風のドアが開き、「あっちぃ」とワイシャツの襟をパタパタしながら男性が入ってきた。

片手にはスーツの上着と鞄を持ち、ネクタイは少し緩んでいる。



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