オアシス・カフェ〜三人のプリンス〜

どこまで優しい子なんだろう、この子は。

人の痛みをわかり、悲しみ、涙を流す。

同情の言葉を並べるんじゃなくて、そっと寄り添い分かち合う。

冷たくて暗い心に、ぽっと灯りが灯り、温もりに包まれたようで。

今の俺には、心地いい。


俺は柚姫ちゃんの肩に頭を乗せた。

珈琲の香りとは別に、甘い香りが鼻を掠める。

香水でもシャンプーでもない、多分彼女特有の香り。


「遣都、さん…?」

「ごめん…少しだけ、こうしてて…」


こうしてると、いくらか心が和らぐ。

大の大人が、女子高生相手に弱さを露呈して泣きべそをかくなんてな…

柚姫ちゃんが相手じゃなかったら、こんな風に弱さを見せない。

甘えたくなる、彼女の優しさに。

不思議な子だよ…ホントに。


俺達はしばらく、何も話さずに、夜空を見上げていた。


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