オアシス・カフェ〜三人のプリンス〜
鞄を置いて、ベッドの端に腰を掛ける。
携帯を開くと、待受には卓人さんからの新着メールを知らせる通知。
ごくっと唾を飲み、メールを開いた。
【明日、テスト頑張れよ】
絵文字も何もない、たったそれだけの卓人さんらしいメール。
いつもと何ら変わらない。
卓人さんは優しい。
本当は店に戻るつもりだったけど、二人のあんなシーンを見て、逃げ帰ってきた私。
卓人さんに連絡もせず、鞄を置いたまま帰ってこない私を、責めもせずこうやって気を遣ってくれる。
今更ながら、浅はかな自分が嫌になる。
だけど、なかなか素直になれず、勇気もない自分をそう簡単に変えられるわけもなく。
私は返信することなく、そのまま携帯を閉じた。
その夜は、頭から卓人さんが離れてくれなくて、眠れない夜を過ごした。