オアシス・カフェ〜三人のプリンス〜
「こら!蒼君!ちゃんとするって言ったでしょ?」
「してるよ。だから女の子ともあれから遊んでない。もちろん連絡先も削除したし。バイトだってサボってない。今の俺は柚姫ちゃんにしか興味ないから」
さっきの甘えた声とは打って変わり、明瞭な声の蒼君に心臓が跳ね上がる。
「これが俺の愛情表現」
「な、何それ…またいつもの冗談…?」
すると蒼君は私の手首を掴み、ぐいっと引き寄せた。
「俺、本気なんだけど?」
「…ほん、き…?」
息がかかるぐらい近くにある顔。
真っ直ぐな瞳。
冗談なんかじゃないってことぐらい、蒼君の目を見ればわかる。
「俺、柚姫ちゃんのことーー…」
「邪魔」
突然聞こえた機嫌悪そうな声に振り返ると、ドアに凭れるように卓人さんが立っていた。
不意のことにドキッと胸が高鳴ったと同時に、睨みつけるような視線に思わずたじろいでしまう。