オアシス・カフェ〜三人のプリンス〜

「遣都、あれから全然来ないわね。もう一週間になるわよ…大丈夫なのかしら」


バイト中、少し空いてきた時間に、ハルちゃんがカウンター席を見つめながら言った。

いつも遣都さんが座る端から二番目の席には、遣都さんとは別の男性客が彼女と美味しそうにパンケーキを食べている。


「うん、そうだね…」


あの日の公園での弱々しい遣都さんを思い出すと、同時に脳裏に浮かんでくるのは穂花さんと卓人さんの抱き合ってる姿。

ズキッと胸が痛む。

思い出したくないのに…

もう、考えたくないのに…

頭の中から追い払うように、頭をぶんぶんと振った、その時。


「おい、おしぼりーー…」

ガチャーンッ‼︎‼︎

「ーー…熱っ‼︎」


不意に卓人さんに話し掛けられて、ビクッと身体が強張り、熱湯を手にこぼしてしまった。


「…っ、馬鹿‼︎何やってんだよっ‼︎」


直様、卓人さんが熱湯をかぶった方の手を取り、水道で水を思いっきり出して冷やしてくれる。

密着する肩、掴まれた手。

卓人さんが触れる箇所、全てが熱い。

熱湯よりも、熱くて、苦しいよ…



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