オアシス・カフェ〜三人のプリンス〜
卓人さんの熱い視線に耐えきれなくて、脇から逃げようとするも、卓人さんは手を棚について私を閉じ込めた。
背中には棚、目の前には私よりも背が高く、見下ろすように立つ卓人さん。
さっきよりも近い距離と熱い瞳。
心臓は破裂しそうなぐらい早鐘を打っている。
「…どいて、下さい」
「嫌だ」
「…っ……」
低いけど、どこか甘さが混じった卓人さんの声に、更にキュンっと胸が締め付けられる。
吸い込まれてしまいそうな瞳から目を逸らすことも出来ず、置かれてる状況も理解できない。
見惚れてしまうぐらい綺麗な顔がゆっくりと近付いてくる。
胸の鼓動は最高潮に達し、目をぎゅっと強く瞑った。
キス、されるーー‼︎
「……ふ」
だけど、キスの代わりに聞こえたのは、卓人さんがうっすらと笑った声。
恐る恐る目を開けると、卓人さんは棚に手をついたまま俯いていて、後頭部しか見えない。
「あ、あの…」
私が声をかけると、卓人さんは顔を上げて私を見据えた。
「お前さ……お前は一体誰が好きなんだよ?」