オアシス・カフェ〜三人のプリンス〜
◇本気と涙
その日、バイトを終えた私と蒼君はメインストリートを抜け、住宅街を歩いていた。
「鞄持とうか?」と、蒼君は手の火傷を凄く心配してくれる。
その優しさは嬉しいけど、私の心は卓人さんでいっぱいで、申し訳なさに胸が痛む。
「大丈夫だよ、ありがとう」
「…俺がその場にいたらな」
「え?」
「ごめん…不謹慎だけど、別の男が手当てしたと思うと…むかつく」
そう言って、拗ねたように口を尖らす蒼君。
「ふっ。あははは」
「あー!笑ったな?」
「ごめんごめん。だって今の蒼君、凄く可愛かったんだもん」
素直で、ストレートに気持ちを言える蒼君を、羨ましいとも思った。
私は蒼君みたいに、自分の気持ちに正直になれないから…
「…今、子供だと思った?やっぱり、年下だなって」
「そんなこと思わないよ。蒼君はホント素敵な人だとーー…」
「…ーーじゃあ、付き合ってくれる?」
その場に立ち止まり、蒼君は熱い瞳で、一瞬たりとも目を逸らさずに見つめてくる。