オアシス・カフェ〜三人のプリンス〜
いつもの可愛い感じじゃない。
子供でもない。
細身だけど、骨張った手も、喉仏も、広い肩幅も…私とは違う。
低い声、愛嬌のある笑顔、優しい瞳。
全部にドキドキさせられる…
蒼君は、本当に魅惑的な男性。
だけど、私は…
「ごめんなさい。私、蒼君のことは友達としか思えない」
「…それって卓人さんのせい?卓人さんが好きなの?」
「え…」
蒼君は私が遣都さんを好きだと思ってるはずなのに…
どうして卓人さんのこと、知ってるの?
「な、何言って……」
「柚姫ちゃん、ずっと目で追ってるからバレバレだよ。それに、さっきスタッフルームでキスしようとしてたとこ見たんだ」
「ーー…っ、あれは違…‼︎」
あの時、咄嗟に離れたけど、やっぱり見られてたんだ。
首筋から耳までボッと火がついたように熱くなり、蒼君から目をパッと逸らす。
「俺、諦めないから。卓人さんには絶対に渡さない」
そう言って、歩き出す蒼君。
私の気持ちは決まってるのに…
胸がキュッと締め付けらるほど、蒼君にときめいてる自分がいる。
それから私は、家に着くまで、蒼君の背中をドキドキしながら見つめていた。