オアシス・カフェ〜三人のプリンス〜
「ふぇ?じゃないわよ。ボーッとして、大丈夫?初めてのバイトで疲れちゃった?」
そう心配そうに眉を寄せるハルちゃん。
いけない、いけない。
仕事中にボーッとするなんて…
「ううん。何でもないの。ごめんね」
ハルちゃんは私の言葉に「ならいいんだけど…」と胸を撫で下ろした。
「君が噂の柚姫ちゃん?」
「あ…はい。柚姫は私ですけど…」
「へぇ。ハルさんが過保護になるのも頷けるな」
そう言って、口元に笑みを浮かべる男性。
「あの噂って…?」
「ああ。ハルさんから柚姫ちゃんの話を聞いてたから。可愛い従姉妹がいるって」
可愛いって…また勝手にそんなこと…
ハルちゃんはいつもそうやって言ってくれるけど、本来の私は全然可愛くないんだから。
知らない人にそんな風に話されたら困るよ…
そんな私の複雑な胸の内も知らず、「ね!可愛いでしょ?」といつも通り陽気なハルちゃん。