オアシス・カフェ〜三人のプリンス〜

「遣都さん、野球上手なんですね」

「そう?ありがとう。これでも一応、小中高と野球部だったんだ」


バッティングセンターを出て、夜景の見える公園を歩く。


「この間までは暑かったのにな。もう秋か…ごめんね、寒いだろ?」

「いいえ、大丈夫です」


遣都さんが風上に立ってくれてるおかげで、そこまで寒くない。


「今日はありがとう…付き合ってくれて」

「私こそ、ありがとうございました。本当に楽しかったです!」

「俺も久しぶりに思いっきり笑った。この二週間は仕事ばっかでさ、家に帰って寝るだけの生活してたから」


そう言って、遠い目をする遣都さん。

きっと、穂花さんのことを思い出しているんだと思う。

夜景が映る瞳が、揺れているから…


私達は夜景の方を向いて、ベンチに腰を下ろした。

風が頬を摩る。

今日の夜風がこんなにも冷たかったなんて、今までわからなかった。

きっと、遣都さんは私に風が当たらないように、わざと風上に立ってくれたんだ。

そのさりげない優しさに、胸がきゅんっと震える。



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