オアシス・カフェ〜三人のプリンス〜

「迷惑、ですよね…急に付き合ってだなんて言われても。彼氏とかいますか?」

「いや、そういう人は…」


彼氏はいない…

でも、すごくすごくすごく好きな人はいる。

今はその人のことしか考える余裕がないぐらい、頭の中はその人でいっぱいだから、他の人と付き合うとか考えられない。

だから…


「ごめんなさい。私ーー…」

「待って‼︎」


永山さんは私の口元を抑えるように手のひらを向けて、私の言葉を遮った。


「まだ、返事はしないでくれないかな…」

「へ…?」

「すぐに付き合えなくてもいい。友達からでもいいから…俺に時間をくれませんか?」

「時間ですか?」

「俺のこと知ってもらいたいんです…それに、平井さんのことももっと知りたいから」


街灯に照らされる真っ赤な顔。

一生懸命で、まっすぐな力強い瞳。

よく見ると、奥二重の目はきりっとしていて、筋がスッと通った鼻。

薄い唇とくっきり浮き出た喉仏が、卓人さんと何処か似てる気がする。

だけど、卓人さんより甘く穏やかな印象の永山さんにドキッと胸が高鳴って、目が逸らせなかった。


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