オアシス・カフェ〜三人のプリンス〜

「改めて紹介するわね。こちら、佐久間遣都(サクマ ケント)さん。うちがオープンしてからの常連さんよ」

「宜しくね、柚姫ちゃん」


遣都さんはそう言って、手を差し出した。

私とは違う骨張った大きな手。

指はスラッと長く、爪は綺麗に短く切ってある。


なんで私、ちゃんと手入れしなかったんだろう…

ハンドクリームも塗ってないカサカサの手を見られるのも触れられるのも恥ずかしくて。

差し出された手に触れるか触れないかぐらいそっと、自分の手を重ねた。

なのに…


「ーー…っ…」


遣都さんは私の手をしっかりギュッと握ってくる。

細めた目尻に皺を寄せ、頬にえくぼを刻み。

少年のようにあどけない屈託の笑顔で。


私、どうしたんだろう…

男性と握手するなんて初めての事じゃないのに。

心臓が張り裂けそうなぐらいドキドキしてる…

緊張に身体が支配されてうまく喋れないし…


この気持ちは一体何…?




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