オアシス・カフェ〜三人のプリンス〜
「遣都も、あなたをいい子だって気に入ってた。卓人だって…絶対に渡さない…」
澤村さんがボソッと言ったので、何を言ったのかよく聞き取れなかった。
「え…今何て…?」
澤村さんはただ俯き、コーヒーカップをギュっと握り締めている。
そして、パッと顔を上げると、険しい表情で私を睨みつけた。
「もう卓人とこれ以上関わらないで」
そう言って、澤村さんはそのまま店を出て行ってしまった。
澤村さんが席を立った後、なかなか動く気になれなくて呆然と座っていると、聞き慣れた声が耳に届いた。
「柚姫ちゃん…」
「蒼、君…どうして?」
「二人でここに入るの見かけて…」
「そっか…もしかして話も聞こえてた?」
「…とりあえず、出よう」
蒼君は、私のトレーを片付けると、私の腕を引いて店を出た。