オアシス・カフェ〜三人のプリンス〜

「柚姫ちゃん…卓人さんはあの人を選んだんだよ⁉︎」

「それでも!報われなくても…私は卓人さんが好きなの」


好き…私は卓人さんが、好き…

この気持ちは、例え卓人さんが誰を選ぼうとしても変わらないんだ。


「…っ…なんで…なんで卓人さんじゃなきゃ…駄目なの?」

「なんでかな…失恋決定なのにね…好きな気持ちが止められない」

「俺を利用すればいいのに…」


そう言うと、蒼君は私を抱きしめる力を強めた。


「そしたら、いつか絶対に俺のことしか考えられないようにしてやる自信あるのに」


掠れた声が鼓膜を震わせる。

蒼君の気持ちが痛いほど伝わってきて、目に涙が浮かんだ。


「利用なんて出来るわけないじゃん…蒼君だから尚更だよ…蒼君は、私の大事な大事な友達なんだから」

「友達、か…」


住宅地のあまり車が通らない細い道の真ん中で、私は暫く抱き締められていた。

蒼君の、震える身体に気付かない振りをして…




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