オアシス・カフェ〜三人のプリンス〜
「卓人!遣都の婚約者は?」
俺が店に入るなり、ハルさんが心配そうな面持ちで駆け寄ってきた。
「帰りました」
「そう…卓人、知り合いだったのね」
「まぁ、古い友人ってとこです。それより、遣都さんか平井から連絡は?」
「それが、何も…」
二人が店を出て行ってから、結構な時間が経ってる。
まだ一緒にいるのか?
「柚姫、明日からテストだって言うのに。まさか鞄の存在を忘れてそのまま帰っちゃったのかしら」
「…じゃあ、それ俺が届けますよ」
何か嫌な予感がする。
あいつが出て行ったっきり、ハルさんにすら連絡を寄越さないなんて…
ちゃんと家に帰ってれば、それでいいけど…
「そう?じゃあお願いするわね」
俺は平井の鞄を受け取ると、平井の家まで急いだ。