オアシス・カフェ〜三人のプリンス〜

その日、メールを送っても珍しく平井から返信が来ることはなかった。

遣都さんと何かあったんだろうか…

何か、モヤモヤする。

なんであの時、行かせてしまったんだろう。

他の男の為に走って行くあいつを、無理にでも行かせなきゃ良かった。


「はぁ…俺、何やってんだろ」


平井のテストが終わるまで、バイト来ないんだよな…

早くあいつの笑ってる顔が見たい。

そしたらこのモヤモヤも、無くなると思うから。


数日後。

「卓人、蒼と柚姫がテスト終わって今日から出てくれるから、また騒がしくなるけど宜しくね」


バイトに行くと、ハルさんがカウンターから声を掛けてきた。

そうか、あいつ今日いるのか。

緩みそうな口元をぐっと堪えて、俺はスタッフルームに向かった。


「これが俺の愛情表現」

「な、何それ…またいつもの冗談…?」


スタッフルームのドアノブに手を掛けて開けようとした時、中から話し声が聞こえた。

そーっと中を覗くと、蒼と平井が、今にもキスしそうなぐらい至近距離で見つめ合っているところだった。



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