オアシス・カフェ〜三人のプリンス〜
イライラする。
あいつと会ったら、このよくわかんないモヤモヤが無くなると思ったのに。
無くなるどころか、もっと強くなった気がする。
自分がコントロール出来ないなんて、初めてだった。
終いには、火傷した平井を壁際に追い詰めて、キスしようとした挙句、
“お前は一体誰が好きなんだよ?”
なんて、ホント自分に呆れる。
今のあいつには、蒼よりも俺の方が危険人物かもしれない。
少し頭を冷やさないと、本気でヤバイ。
「ねぇ、卓人さん。卓人さんって柚姫ちゃんのことどう想ってるんですか?」
バイトの休憩中、蒼が突拍子もなく聞いてきた。
「…どうって?」
「好きか嫌いか」
「……」
「答えないなら、俺が柚姫ちゃんを貰います」
「なに⁈」
「負けませんよ、卓人さんにも遣都さんにも」
そう言うと、蒼はスタッフルームを出て行った。
あいつが誰かのものに…なる?
そんなの、許せない。
俺だって、蒼にも遣都さんにも、誰にも負けない。
あいつは、俺が貰う。