オアシス・カフェ〜三人のプリンス〜
◇私のPrince
「紹介します。こちら親友の凛子とその彼氏の広大(コウダイ)さんです」
「初めまして、永山晴也です。今日はありがとうございます」
10月最初の休日。
今日は以前から約束していたWデートの日。
永山さんに誘われたあと、学校で凛子に一緒に行ってもらえないか聞いたら、彼氏含めてのWデートならいいよと承諾を貰っていた。
「ちょっと、柚姫!何あれ、めっちゃ好青年じゃない!」
バシバシと背中を叩きながら、耳元でコソコソ話をしてるつもりの凛子だけど、興奮で声が大きくなっていて、永山さんも広大さんも苦笑いを浮かべていた。
「ところで、卓人さんのことはいいの?」
動物園に向かって歩いていると、突然、凛子の口から卓人さんの名前が出てきてドキッとした。
「ど、どうして?」
「だって、こんな風に柚姫が男の人と遊びに行くなんて珍しいから、ってか初めてのことじゃない?」
「うん…卓人さんにはね、好きな人がいるの。私が入る隙なんて、これっぽっちもないんだ」
まだ好きだけど…大好きだけど。
卓人さんの幸せの邪魔はしたくないの。
だから、この恋はもう終わりにするんだ。