オアシス・カフェ〜三人のプリンス〜
「凛子達、まだ来ないですね…ちょっと電話してみますね」
時刻は夕方4時55分。
閉園を知らせるアナウンスが、場内に流れ、まだ中にいた客が出口から次々に出てきている。
まだ動物園から出てこない凛子に電話をすると、お土産屋のレジが混んでいて、ギリギリまで掛かるということだった。
「凛子達、お土産屋が混んでてギリギリになるらしいです」
「そっか。じゃあ、あそこ座って待ってようか」
私達は動物園の出入り口の近くにあるベンチに腰を下ろした。
「あっという間だったね」
「ホントに。久々の動物園で、すごく楽しかったです」
「俺も……今度はさ、水族館…行こうよ。二人で」
「え?それって…」
以前やり取りしたメールの内容を思い出す。
“じゃあ、初めて彼氏が出来たとして、初デートはどこに行きたい?”
“ん〜水族館かな?イルカショーとか見たいです!”
隣に座る永山さんを見ると、ぱちっと目が合った。
永山さんは、いつもの照れた様子じゃなくて、真剣な表情で。
ドキドキする…
熱くて、真っ直ぐな瞳から目が逸らせない。