オアシス・カフェ〜三人のプリンス〜
「聞いてる?」
「え…?」
「見てたでしょ?俺の寝顔」
そう言って、男の子は口の端を上げ目を細めた。
それはもう、女の子なら誰もがときめいてしまうような極上のスマイル。
「ーー…っ…」
カァッと一気に顔が熱くなる。
心臓は破裂しそうなぐらい早鐘を打ち、反論しようにも声が出ない。
「真っ赤になっちゃって。可愛いね、ユズキちゃんは」
な、なんで私の名前を…?
名前を名乗った覚えも、ましてや顔を合わせたことすらないのに。
「そんな瞳で見つめて…しかも無自覚って…タチ悪過ぎだろ…」
「…そんな瞳って…?どういうーー…きゃあ!」
突如、私の視界がくるっと回った。
目の前にある綺麗な顔の後ろには白い天井。
背中には、さっきまで寝ていたからわかるーー、
少し固いマットレスの感触。
な、何?何が起こったの…⁉︎
私…今、学校の保健室で…
しかもさっき初めて会ったばかりの子に押し倒されてる…⁉︎