オアシス・カフェ〜三人のプリンス〜
今の状況が理解出来ず、抵抗することすら忘れてしまう。
男性とまともに付き合ったこともない私には、いきなりハードルが高過ぎて頭がついていかない。
ただわかる事はーー。
「ねぇ、これから俺といい事する?」
今、人生最大のピンチが訪れているということ。
「…ふ、ふざけないで…」
やっとの思いで出した抵抗の言葉。
自分でも声が震えてるのがわかる。
「ふざけてなんかないよ。俺は本気」
「どうして…?」
「どうしてって?ユズキちゃんが気に入ったから。俺のものにしたい」
そう甘い声で囁くように言った男の子は、さっきまでの中性的な彼とは違う。
私がまだ知らない、欲望と野心が秘められた“男”の目をしていた。
「ーー…っ…」
年下とは思えないほど艶かしい微笑みに、思わず首を縦に振ってしまいそうになる。
彼のその微笑みは、まるで小悪魔のようで…
頭がぼーっとして正気を失うぐらいの魔力があった。