オアシス・カフェ〜三人のプリンス〜
艶かしい唇がゆっくりと近付いてくる。
身体をバタつかせて抵抗しようにも、両手を押さえつけられていて動けない。
絶体絶命!
目をギュッと瞑った、その時ーー。
ガラガラガラッ。
「あれ?平井さん?…帰っちゃったのかしら…」
保健の先生が静かにドアを開けて中に入ってきた。
すると、私の両手を押さえつける力が弱くなり、その隙をみて男の子の下からするりと抜け出す。
「あ…ユズキちゃん」
「…最…低…」
込み上げる涙をグッと我慢して、男の子を思いっきり睨み付けた。
シャッ‼︎
「え…平井さん⁉︎」
カーテンを勢いよく開けると、目を丸くして私を見る保健の先生。
私はそんな先生を見る事なく、一目散に飛び出した。