オアシス・カフェ〜三人のプリンス〜
誰もいない、静まり返った廊下を只管走る。
最低…
最低……!
最低……‼︎
少しでもときめいた自分が馬鹿みたい。
気に入ったって何よ!
さっき初めて会ったばかりなのに、どうしてそういうことが簡単に言えるの?
それに、俺のものにしたいって…
私はモノじゃない!
「ハァハァハァ…」
屋上に続く踊り場で足を止め、乱れた息を整える。
ふと男の子の艶かしい微笑みが頭に浮かび、胸がズクンと痛んだ。
抑えられていた腕は、ほんのりと赤い。
もう忘れよう。
名前も知らない。
学年も違う。
もう会う事もないんだから…