オアシス・カフェ〜三人のプリンス〜
「ごめんね。あれ、いつものことだから」
そう言って、並木さんは二人に近付き、近くにあった薄い雑誌を丸めて二人の頭をパコーンっと叩いた。
「お前らは…いい加減にしろよ。表に聞こえんだろ」
「だって、蒼が私の可愛い可愛い柚姫にちょっかい出したのよ⁉︎」
「だからハルさん。俺はまだ何もしてないですって。ね?柚姫ちゃーー…」
ーーーパコーンッ‼︎
蒼君が最後までいい終わる前に、再び室内に快音が鳴り響いた。
うわぁ…痛そう…
二人は「痛っ…!」と頭を抱えている。
「ったく。柚姫ちゃんが困ってるだろ?ハル、仕事しろ、仕事。ラテアートの注文入ったぞ」
「はぁーい…」
あのハルちゃんをいとも簡単に黙らせるなんて…
恐るべし、並木副店長。
ハルちゃんは蒼君に「柚姫だけは駄目よ」と念を押して、渋々と店に戻っていった。