オアシス・カフェ〜三人のプリンス〜
◇来るもの拒まず
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時刻は20時。
バイトを終えた私は、まだ仕事中の皆に挨拶をして店を出た。
「うわぁ!綺麗…」
真っ先に目に飛び込んで来た大きな満月。
黒い空に神々しく光るそれは、黄色でもオレンジ色でもなく。
まさに黄金色。
神秘的で、疲れた心をスゥッと癒してくれる。
今日は平日の月曜日だというのに常に満席だった。
休日ほどではないけれど、外には数人並んでいる状態だったし。
ハルちゃん曰く、平日の夕方は学生から仕事帰りのOL、営業周りのサラリーマンでいっぱいで。
やっと一息つけるのは19時半を過ぎた頃らしい。
それにしても。
仕事中の蒼君が、保健室の彼とはあまりにも別人で正直驚いたな…
蒼君は卓人さん同様、オアシス・カフェのオープニングスタッフで。
一番年下ながらもバイトサブリーダーを任されている。
なんで高校生が?って疑問に思ったけど、仕事振りを見たら一目瞭然。
お客さんが飲み物を零した時や、フォークを落とした時などのイレギュラーな対応。
配膳も片付けも何もかもがスマート且つ完璧で、ハルちゃんも他の皆も頼りにしてた。